私は、渋谷区議会自由民主党議員団を代表いたしまして、桑原区長並びに三浦土木部長、足立教育長に質問をいたします。
まず初めに、区長に質問をさせていただきます。
その第一点は、渋谷区の総合庁舎、公会堂の建て替えについてであります。
昭和三十九年、渋谷区は東京オリンピックの中心的施設設置に伴い、手狭になった区役所、公会堂を現在の場所に新築して以来、はや四十年、あと十年経過すると築五十年になります。専門家の意見によりますと、昭和三十年代、当時の建築技術や建築資材では耐用年数は五十年が限度だろうという考え方で一致しております。これまで区の各施設も応急処置的な耐震補強工事も進められてきたところでありますが、これとて限界に来ております。
昨年、五階の我々議員控室の柱の補強工事の様子を見ておりました。テグスのような糸を張り樹脂で塗り固めた、こんなやり方で果たして震度七以上の地震があった場合もつのであろうか、大変心配をいたしました。対応に当たった関係者に聞きましたところ「まあ、あれは横揺れには多少耐えられますが、直下型の地震があった場合とてももちません」、こんな話を聞いて私は愕然といたしました。
十年後には耐用年数が来てしまう、老朽化したこれらの建物を区長はどうお考えなのか。
本年第一回定例区議会で我が会派の木村議員が同趣旨の質問をした折、「貴重な御提言として受けとめるが、申し上げるまでもなく、そのために多額の改築費を要するところでございまして、それがゆえに行財政運営に支障を来すことがあってはならないと思うのでございます。したがいまして、中・長期的な視野に立って慎重に検討を進め、その財源対策あるいは自治権拡充の方向を見きわめつつ準備をし、将来に禍根を残さないようにいたしたい」と答弁をしておりますが、十年、十五年はあっという間に来ます。どうしようもない事態になって慌てても遅いと思います。すぐに識者を集めてプロジェクトチームを編成、一歩一歩区民の理解を求めていかなければならないと思います。
建物の老朽化のますます進む中で、それに対する改修費、維持・管理費もばかになりません。過去三年間の改修費は三億八千万円強、維持管理工事も八千九百万円強、合計約四億七千万円になります。これから十年間で十六億円近くも老朽化対策のために貴重な区税を使うことになります。いっときも猶予はできないと思うのであります。
そこで、私が提案したいのは、区財源を使わないで区役所、公会堂を新築する手法です。
いきなり「区税収入を一銭も使わないで建て替える」と言ったら幾ら理解力のある区長でも仰天すると思ったので、事前に詳しい資料を提出してありますので、ここでは要点だけをお話しします。
それは、不動産の証券化であります。
もともと不動産は金額が多額になり流動性も乏しいので、一般投資家にとって投資対象になりにくいものであります。しかしながら、不動産を証券化することにより、不特定多数の投資家も不動産投資を行うことが可能になりました。すなわちSPC−−スペシャル・パーパス・カンパニーと呼ばれる特別目的会社を設立し、当該SPCが証券を発行することにより不特定多数の投資家から資金を集め、その資金をもって不動産を購入するものであります。
この手法はアメリカではごく当たり前の話で、日本でも、民間でこの手法をかなり導入している実例が多くあります。
通常の不動産証券化は、土地、建物をあわせて証券化するので金額も多額となるため、購入資金を、ノンリコースローンと呼ばれる担保物件のみにしか訴求できない借り入れを投資家の出資の組み合わせにより調達するケースがほとんどです。
しかし、総合庁舎や公会堂はもともと渋谷区の所有であり、土地代金を手当する必要がないので、純粋に建物建設費用だけを調達すればよいことになります。このため、一般投資家の投資による資金調達は不要となり、ノンリコースローンのみで建設資金を調達することが可能になります。
また、高層化によりスペースを増やせばテナントの誘致も可能ですし、今回、文化芸術施策検討委員会より提言された音響環境万全の大・中・小ホールを併設すれば、それらの賃料の収入によりノンリコースローンの元利金の返済が可能になり、区税を投入することなく建て替えることができるわけです。
手元の試算では、総工費を二百八十五億円と見積もった場合、国庫補助金七十五億円、ノンリコースローン二百十億円で総工費を賄おうとすると、現行の金利水準約二%程度では、減価償却差し引き後で約二十一年間で元利金が完済できることになります。
また、建物管理を外部委託することにより、将来にわたり経費の節減につながります。
しかし、これらの試算や考え方は、現在の本庁舎や公会堂のある場所を考えておりますので、仮にこの手法を使って建て替える場合でも、改築する間にどこか他の建物を借りなければなりません。しかし、大規模なビルを期間を切って借りるのはまず不可能に近いと思いますし、それらの賃料は完全な出費となってしまうので、大方の皆さんは納得できないと思います。そこで、私は第二の方途を探ってみました。
昨年示された渋谷駅周辺整備ガイドプラン21を見るとき、極めて壮大なビジョンが示されております。大きなコンセプトの中に「渋谷が創り出す魅力を高めていきましょう」「挑戦と創造によりあらゆる人を魅了し続けましょう」「様々な集積を受けとめる都市の基盤を整えましょう」とあります。宮益坂周辺まちづくり協議会も発足、また、渋谷駅周辺のまちづくりを推進する地域組織、NPO法人渋谷駅周辺地区まちづくり協議会もスタートしました。かなり前から南口の開発についても、地域からいろいろな提言、陳情も出ております。
地下鉄十三号線の開通、東横線との相互乗り入れもあり、国土交通省も来年度から、都市部の鉄道の乗り換え、乗り継ぎをしやすくする基盤整備に乗り出すことを決定いたしました。渋谷駅についても具体的な計画が示されております。この新たな補助制度は、線路や駅舎の整備主体を官民出資の第三セクターとし、列車を運行・営業する鉄道会社と切り離す上下分離方式を採用することになっております。
平成二十四年には、十三号線と東横線が直通化し、また埼京線のホームの位置変更計画等を視野に入れると、そこにはぽっかりと空間ができます。このことについては、東横線地下化計画及び渋谷区画街路一号線計画変更説明会の折に「東横線地下化に伴い大きな跡地が生まれるので、開発計画を進めていく予定である」と答えております。それらの状況を踏まえ、私の提言する手法を使って区の総合庁舎や関連施設の建設が考えられると思いますが、いかがでしょうか。
また、直近の情報では、東急電鉄が東急百貨店を完全子会社化するとのことで、駅周辺の再開発にますます拍車がかかるのではないかと予測されます。
農園画家として有名なミレーの絵に「落穂拾い」や「種蒔く人」はよく知られておりますが、「接ぎ木」という題の一枚の絵は案外知られておりません。これは、自分たちの時代には実らないであろう果実のなる木を接ぎ木している夫婦の絵でありますが、一人の画家の一枚のタブローの中に人間としての遠大な思想が隠されている、私にとって極めて象徴的な絵であります。
東京の初代府長、後藤新平が昭和通りの構想を打ち出したとき、時の政財界のほとんどの人が「気がふれたのではないか」と攻撃したのは有名な話であります。そのとき彼は、将来、日本にも必ずモータリゼーションの時代が来ると信じ、「政治は百年の大計にあり」と喝破したのであります。
また、日ごろ私がよく人に言っている言葉に「富士山に登ろうと思わない人は一生登れませんよ、思ったときが一合目に踏み込んでいるんですよ。一歩前進してください」そういうふうに日ごろ言っております。
この私の提案に対してどうお考えか、また、別の的確なビジョンをお持ちであれば、お聞かせ願いたいと存じます。
次に、渋谷区のイメージアップにつながる総合的な施策の拡大についてお伺いいたします。
私は、数年前の代表質問でこんな話をしました。
勤労福祉会館前で信号待ちをしておりました。聞くとはなしに隣の若者の会話が耳に入ってまいりました。「おまえ、渋谷に住んでいるの。いいな、いい所に住んでいて」。これを聞いて、私は本当にうれしかった。その後、この話を周りの若い人たちによくしました。「ぼくたちも住みたいですよ。でもね、家賃が高くてね」、そんなことから家賃の安い区営住宅の推進をお願いしたことがあります。時の区長は「できることから始めましょう」ということで家賃補助制度を考えてくれました。
しかし、今日の私は区営住宅のことを言いたいのではなく、他区の人から見れば、渋谷区というのは文化の薫り高いまちだと思われているんですよということを言いたいのであります。
渋谷区内に仮に車検場があって、渋谷の名前が入った車のナンバーが取得できるとすれば、ユーザーは間違いなくそれを望むでしょう。イメージというのは理屈抜きに人間の感性をくすぐるものだと思います。
しかし、昨今の渋谷区は、犯罪の多発している怖い街という印象があることは否めない事実であります。都知事の定例記者会見のテレビ放映の場面で「渋谷は今、バビロンでしょう」という発言がありました。まことに大変残念でなりません。
小倉区長時代の、いわゆる安全・安心条例の制定、桑原区長になってからの安全対策本部の設置、また今回も防犯リーダー実践塾を実施したりと、必死になってやっていることも大いに評価に値すると思っております。地に足をつけた堅実な施策も極めて大事なんだとよく認識しておりますが、今回、私が申し上げたいことは、イメージアップにつながる施策も考えてくださいということなんです。
二カ月ぐらい前にテレビ番組で渋谷の特集を見ることがありました。自然と文化とやすらぎのまち渋谷をそのまま映像化した表現がありました。ビジュアルな面をもっと考え、採用したらどうだろう、渋谷区の色を決めたら何色だろうな、若者に感動を与えるような元気が出る渋谷のイメージソングをつくったらどうだろう、いろいろなイベントに気楽に使える第二の渋谷のシンボルマークを考えたらどうだろう、いろいろなことが頭を駆けめぐります。
そんな中で私が考えた第二のシンボルマークが、これです。
〔パネル提示〕
しかし、渋谷区役所の中に、現実にそれらを考え、プロモートする専門の部署はありません。情報化社会の中で区の発行する様々な印刷物、区は何をやってきて、これからどう展開するのか、広報活動は極めて大事なことだと思い、今まで様々な提言をしてまいりましたが、それらを発案・構成し、作成するデザイン企画室のような専門的な教育を受けたプロ集団は、先ほど言ったように、区の中にはありません。コピーライター、グラフィックデザイナー、新進気鋭の建築家や音楽家、新しい感覚を持った写真家や画家、都市環境の専門家等々の斬新な、ユニバーサルデザイン感覚を理解、実践できるプロ集団の専門部署をつくる必要があると思いますが、区長の御見解をお伺いいたします。
次に、地下鉄との防災協定を結ぶお考えがあるかどうかお伺いします。
日本では、関東大震災以後マグニチュード七以上の地震が二十五回も起きております。専門家の間では、向こう三十年間マグニチュード七以上の地震が起きる確率は七〇%と、厳しい予測をしております。
そのような状況下で、三宅島や最近の浅間山の噴火等は、いずれも富士火山帯に連なっており、大きな地殻変動は即、大地震につながります。一時集合場所や避難所としての小中学校も耐震工事をしておりますが、これも完全とは言えません。
現在、地下鉄十三号線も建設中でありますが、渋谷区内には銀座線、千代田線、半蔵門線、日比谷線、大江戸線と網の目のように路線が走っております。
交通問題特別委員会として大江戸線の開通前、都側と何回か懇談会を行い、その折に「備蓄倉庫は何駅に設置するんですか」の質問に、三十八駅ある中でわずか二駅しか予定はありませんとの話でした。是非地域のために増やすようにとの提言に対して、増やしたとの話は聞いておりません。
また、十三号線に関しても、当時の営団側にこのことを進言しましたが、いまだに確たる回答を得ておりません。何回かの工事現場視察の折に質問に対して「核攻撃に対しても持ちこたえる堅牢な構造になっておりますし、大地震に耐えるようなシェルターとしての構築物とお考えになっても結構です」との話も聞きました。駅ホームのみだけでなくコンコースも、直近の住民が避難するのに十分なスペースがあると思います。
しかし、駅を利用するお客さんは大勢いるわけでございまして、区民が避難していくことに問題があるかもしれません。ただ、区内の避難所に整備されている備蓄品の補完的な意味合いで、堅牢な施設の中に備蓄倉庫提供に係る防災協定を結ぶことができないか、区長さんの御所見を伺います。
また、地震に強い地下鉄の輸送力を得て、多くの帰宅困難者を速やかに居住エリアに送り届けるようにしていくことも、また重要なポイントであり、東京都や他区と連携しながら、協調して避難訓練等の計画を練っていくことも必要であろうと考えます。来街者も多い渋谷区として、しっかりとした対応を強く要望するものであります。
次に、駅前駐輪場の早期実現について、また、ヒートアイランド現象に対する積極的な対応について、この二点につきましては土木部長に質問をいたします。
JR、私鉄、地下鉄各線の駐輪場対策は、私の見る限り、具現化に向けての積極的な計画は感じられません。交通問題特別委員会でも提言し、世田谷区成城学園前駅近くのエコサイクル施設を視察し、前任土木部長に検討してほしいと申し入れをしたことがあります。
ただ、当時のエコサイクル駐輪場はレンタル方式で、同じ型の自転車しか収納できないため、開発会社に「個人の持ち物である形の違う自転車でも利用できるものを考えてほしい」と申し入れたところ、なんと半年後には「御要望どおりのものができました」との連絡が入りました。早速会って話を聞きました。「ハンドルが極端に長いものや、大きなかごのついたものはちょっと無理ですが、普通の自転車であれば大丈夫です」との話でした。
当時視察した委員はよく知っているはずですが、この施設は地下に直径七メートルの茶筒型の収納スペースを設けるだけで百四十四台の自転車をカード一台で自動的に収納できるメリットと、地上部分は半坪ぐらいの構築物しかありませんので、景観や地上の空間を損なうことはありません。工事費も八千万円程度でできますし、地下の埋設物の有無だけを調査すれば、やる気さえあればできるはずです。現状と完成後のCGまで資料として提供し、推移を見守っておりましたが、東京電力に地下埋設物の調査をさせただけで、その後どう検討されたのか何の報告もありません。どうして実現できないのか、やる気があるのかないのか、確たるお答えをいただきたいと思います。
次に、ヒートアイランド現象に対する積極的な対策について、お伺いいたします。
今年は六月下旬ごろから、人々のあいさつがこんなふうに変わりました。「おはようございます」「こんにちは」ではなく、「お暑うございます」が当たり前になってしまったのです。九月二十五日まで三十度を超える真夏日が六十九日を数えました。熱中症で病院に救急搬送されたのも史上最悪で、昨年の四・五倍。体力のないお年寄りや幼児が、涼しいはずの室内で倒れております。
二十三区内に百六カ所の気象観測点を置いている都環境科学研究所は、八月十六日、気象庁が大手町で今までの観測史上最高の三十九・五度を記録した七月二十日の気温データを発表いたしました。最も気温が高かったのは足立区江北の四十二・七度、二番目は荒川区の町屋、四十一・六度、三番目は渋谷区西原の四十一・三度。
同研究所では、海からの風が届きにくい北部や谷地などで気温が上がりやすい傾向にあるとしているが、しかし、現実には東京湾沿いの地域も連日猛暑が続いており、どうもかなり前から進んでいるウォーターフロント開発に関係があるのではという説が浮上してきました。特に汐留地区再開発の高層ビルの林立により海風が流れ込みにくくなったためではないかと、早稲田大学理工学部の研究グループが、東京湾岸の高層ビル群で代表的な汐留付近のミニチュア模型を使って海側から風を送る風洞実験や、実地調査などを行った結果、確かな影響があることがわかったそうです。そして、来年の夏も今年より平均気温がさらに上がるとの予想もあります。地球温暖化の現象もあり、ただ一概にこれだけが原因と言い切ることはできないにしても、大きな要因であることは間違いありません。
八月中旬、ある先輩議員から電話が入りました。「あなたの近くの明治公園で打ち水大作戦というのがあるから、行ってみないか」好奇心旺盛な私は、明くる日の朝、行ってみた。浴衣姿の若い男女が大勢集まっていた。環境省の小池大臣も来ていて、路面の温度をはかり、その後、打ち水の実演までしてみせた。その直後の計測で四・五度も路面温度が下がっているのを自分の目で確かめ、いたく感心していた。
これはNPO法人ピースフルエナジーが二〇〇三年から始めた行事で、今年は八月十八日から二十五日まで打ち水週間と名づけ、全国運動として展開、「気持ちのいい涼しい風を世界じゅうで吹かせましょう」と訴えた。
一方、国土交通省も路面の温度を下げる新たな道路舗装材を本格的に導入する方針を打ち出しました。実験によると、真夏には六十度を超えることもある路面温度が二十五度ほど下がり、体感気温も二、三度下がるという新たな舗装材は保水性舗装と呼ばれ、おむつなどに使われるポリマーなどの保水材をアスファルトに混ぜることにより、雨水や地下水のようにゆっくり蒸発して、気化熱として路面の熱が奪われるため、長時間にわたって路面の温度を冷やすことができるというものです。来年度から自治体にも助成金を半分出して実施していくということですが、渋谷区としては、このことについて計画を導入するお考えがあるかないか、お聞かせを願いたいと思います。
次に、冒頭、区長の発言の中にありましたが、近年、児童の虐待問題が深刻な事態となっていることは御承知のとおりであります。基本的には家庭の中の問題、特に親に起因することは十分承知しておりますが、最近の文科省の委託研究班による調査・研究で判明したことは、虐待の通告は教員としての義務とされているが、なぜ通告をためらうのか。それは「自分では判断に自信がない、「子どもへの被害拡大を恐れる」等々の理由が多いとされております。また、研究班では、児童相談所などとの迅速な連携に向けたシステムの構築が急務と指摘しております。
多様化する現在の教育現場で、指導力の不足を指摘される教員が増えてきており、懲戒処分、諭旨免職、訓告等を含めると、なんと三千九百人を超えるという驚くべき数字が示されております。また、昨年度の休職者が五千二百人、このうち心の悩みで休職している教員が二千五百人もいるという実態も浮き彫りにされております。だめな先生もいるが、まじめな先生ほど自分を追い詰めている現象がますます増えるであろうと予測されます。
そのような状況下で、民間人の校長登用、またスクールカウンセラーの採用など、各自治体で様々な対応を試みておりますが、お隣の世田谷区、杉並区などでは、教育内容や教員の人事などを含めた学校運営に地域住民が直接参画できる、地域運営学校を来年度から設置すると発表いたしました。当区では、学校評議員制や学校運営連絡協議会を実施しておりますが、その内容、実態については十分な対策とは思えません。
いろいろ多岐にわたった事柄を申し上げました。三位一体論としての権限委譲の進む中、人事権も近いうちにおりてくると思います。細かい内容については所管委員会で詰めてまいりますので、端的に教育長の見解をお伺いいたします。
最後に、「区職員にやる気を起こさせるリーダーシップの発揮」と題して区長に質問いたします。
今年の夏は、熱帯夜の影響だけでなく、アテネオリンピックを声援するためにかなり寝不足の人がいたのではと思います。日本のメダルラッシュに沸いた華やかな余韻が残るそのアテネに、百四十五の国と地域から約四千人の障害者選手が集うパラリンピックが開かれ、二十八日未明に閉幕いたしました。通常のアスリートのような企業援助もほとんどなく、用具メーカーから無償提供されるわけでなく、生活の関係で練習に明け暮れることもできず、自ら限界に「克つ」ことを目指して、金メダル十七個、銀メダル十五個、銅メダル二十個と、日本選手団は大きな成果と勇気と感動を我々に与えてくれました。
皆さん、御存じの方もいるかもしれませんが、栄えある銀メダル獲得者の中に渋谷区の職員がいるのです。その名は、仮にSさんとします。新聞記事にこう書いてあります。「最後の一投でチェコの選手に逆転されたが、女子円盤投げのSさんは自己ベストを一メートル二十七も更新する十一メートル〇九を記録、銀メダルに輝いた。十八歳、二十二歳、昨年三月と脊髄を三度痛めた。徐々に体の自由がきかなくなり、今は握力もほとんどない。それでも「陸上が私を支えてくれた。日常生活で動きが制限される分、スポーツで自分を表現したい欲求は高まっていった」頂点だけを目指して挑んだこの大会、ずっしりと重い銀メダルを見ても「金メッキがかかっていれば最高なんですけれど」喜びも半分といったところだった」。
私がSさんのパラリンピック出場を知ったのは、区のエレベーターの壁に張ってあった壮行会開催の一枚の小さなポスターでした。世界のパラリンピックに出ることは容易ではない、まして区の職員として仕事をしながら、その余暇をさいてたゆまない練習をしているんだろうな、そんな話を区議会事務局の人に話したら「知っていますよ。福祉の仕事をしている人ですよ」。その一瞬、私は、ある事柄が頭をよぎった。
数年前、母の高齢者介護保険の手続に行ったとき、車いすに乗った女性が奥から出てきました。内容を話すと「それはこの上の階なんです」。私がどの窓口へ行ったらよいのかと聞こうとしたら、狭いカウンターの間から車いすを見事に操り「こちらへどうぞ」と先導をしてくれた。慌てて後を追うと、なんとエレベーターに一緒に乗って担当窓口まで案内してくれたのです。ふだん着の私を議員と知るよしもなく、一般の区民と思って親切に対応してくれた、その行動に感激しました。
また、つい一月ぐらい前のことです。区役所に来てエレベーターに乗ろうとしたら、その車いすの女性がドアの前にいました。何となく顔を覚えていた程度なので、声もかけないで後ろに立ってエレベーターの来るのを待っていました。ドアが開く直前、右側から乳母車に赤ちゃんを乗せた若いお母さんが来ました。車いすのその女性は、「どうぞ」と手を差し伸べ先に乗せてあげたのです。既に何人か乗っていたので、それでスペースはいっぱいになり、別なエレベーターで私もその職員と一緒に上がりました。
多分あの人ではないか。遠征費を捻出するため、職場の仲間が協力していることを知り、Tシャツを買い、心から激励をさせていただきました。
数日たって区役所へ行ったら、事務局の人が「Sさんが齋藤さんに会いたいと言っていますが、どうしますか」と。「できればすぐ会いたいね」と言ったら連絡してくれて、すぐ来るとのこと。議員応接室で待機していたら、「やっぱりあのときのあの人だ!」、思わず涙が出そうになった。
気は優しくて力持ち、自分自身が障害を背負っているのに他の人のことを考え、献身的に職員としての責務を果たす人がいるのに、区は何をしているのだろう。区ニュースのトップで扱ってもいいぐらいの区の誇りだと思いました。
このSさんの例は、私が最近経験し、感動した一つの例でありますが、まだまだこのような職員が区役所の中に大勢いるものと思います。いいえ、区民にとってはいなければならないと思うのであります。そう願うのは私だけではないと思います。
私も過去に、職員の対応に不快感を抱いた経験もあります。しかし、職員も人間ですから、時には体調のすぐれないこともあるでしょう。しかしながら、先ほどのような職員が区民の福祉向上のため、自らやるべきことにひたむきに取り組んでいく「やる気」を育てていく責務の一端は、区長以下幹部職員の情熱とリーダーシップにかかっていると思うのです。この機会に、区長の思いを是非お聞かせ願いたいと思います。
以上、よろしくお願いいたします。
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