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平成18年第1回定例議会における代表質問
質問者 染谷 賢治

私は、渋谷区議会自由民主党議員団を代表して質問をいたします。
まず、渋谷区実施計画二〇〇六の中に、旧大和田小学校跡地複合施設があります。この施設整備のコンセプトとして、文化・教育・福祉・健康の拠点づくりを挙げています。また、各施設の導入に至った経緯として、一つ、自主的な文化活動の発表の場や交流の場、そして小中学生の日ごろの練習成果発表の場、さらには渋谷の文化芸術の拠点となるホールの整備など「文化・芸術の振興へ寄与する施設」、二つ、プラネタリウムや子ども科学センター、教育センターの設置や高齢者などの集会施設、体育施設、さらには図書館や保育園など「次世代の担い手となる子どもたちの育成に寄与する施設」、三つ、区民の健康を守り、健やかな子どもの成長のために、健康センターの整備と医師会館と看護学校の整備など「区民の福祉・保健に寄与する施設」の三つを挙げております。
この施設整備を考える上で、私が参考になったことがあります。それは本年二月十三日、神宮前ライオンズクラブ十周年のチャーターナイトで、国立社会保障・人口問題研究所の所長であり社会事業大学元学長である京極高宣氏が記念講演の中で、日本の社会は今世紀の前半に少子・高齢化と人口減少を経験します。また、少子・高齢化の社会・経済要因は、女性の結婚、出産、育児に伴う機会と費用−−就職継続の困難さ、三世代同居の減少と父親の育児参加の弱さ、子育て費用、教育費用の高額化、医療技術の進歩の平均余命延長効果などがあります。これを踏まえて、国民、企業、地域、行政にとって今後の新しい日本社会の戦略課題をどうすべきかという内容の講演でありました。
一方、高齢者にとっては、健やかな長寿はだれもが望むところです。しかし、冷静に見れば、高齢化社会とは体の機能が低下し、回復力も弱まっていくことにほかなりません。
高齢者は、一たん病気になると自然治癒は望みにくく、どんどん悪くなっていきます。それに対して、これまでの医療はどう対処してきたか。それは、病気にかかった組織を手術によって除去するか、薬によって症状を和らげるかという対症療法がほとんどです。しかし、本格的な高齢化社会を迎えて国民一人一人のクオリティ・オブ・ライフ−−生活の質を踏まえて、医療の面から今後の高齢化社会を支えていくには、根治療法に切りかえていかねばなりません。
そこで、旧大和田小学校跡地複合施設に関しては、渋谷区医師会との連携をさらに密にし、生活習慣病の予防として、若年から高齢までクオリティの高い健康医療体制を整えてほしいものであります。
一方、二月二十三日の新聞情報によると、宇宙地図作成のため、赤外線天文衛星「あかり」の打ち上げが成功と報じられました。このところ三基の打ち上げを成功しています。この誇るべき科学力は、世界的にはもちろん、日本の環境問題、耐震の問題など地球の解析に寄与ができる大きな成果であります。
この宇宙衛星を観察することのできるのも、五島プラネタリウムの思いを子どもたちの夢をはぐくむプラネタリウムとして新たな施設に設置することは、子ども科学センターの設置とともに、まさに次世代の担い手となる子どもたちにとって大きな夢につながるものであります。
これらの思いを込めた複合施設がつくられるわけですが、その設計と提案には、審査委員会でその審査を行い、最優秀案をパブリック・コメント制度により大きな期待が持てるキャンパスとしてほしいものと思います。
同時に、藤原正彦氏の著書「国家の品格」にもあります、物事の理論だけでは片づかない情緒とか形とかいうものの意義を考えるようになりました。著者は数学者でありますけれども、人格と品格は四つの愛が基本になると言っております。まず家族愛、郷土愛、そして祖国愛、この三つが固まった後で、最後に人類愛の順序だそうです。
このようなコンセプトのもと、渋谷のシンボルとなるような施設として旧大和田小学校跡地複合施設を建設してほしいものです。区長の所見をお願いいたします。
また、三位一体改革による大幅な税収減が見込まれる中で、一層の区民サービスの向上のためにはさらなる行政努力が必要として、十七年十月には「新行財政改革要綱」を策定しました。これを踏まえて、「渋谷区実施計画二〇〇六」では、窓口ワンストップサービスや本庁休日窓口を開設する運びの中で、有機的システムの活用のためのIT化への対応など、行財政改革に取り組むとともに、多くの新規事業が掲載されております。
この旧大和田小学校複合施設整備も含め、三カ年渋谷区実施計画を完遂させるためにも、私どもは区長の続投を希望しておりますが、区長の御意見をお伺いいたします。
次に、都区財政調整主要五課題に関する一応の決着をめぐり、区長の今後の対応についてお伺いしたいと存じます。
二月二十六日、都区協議会が開催され、平成十八年度の都区財政調整等に関する合意がなされましたが、区長を先頭に御努力されたのにもかかわらず、渋谷区にとって甚だ不本意な結果と言わざるを得ないと考えます。このことは、ひとえに都側が自ら行う市町村事務について、法の原則を無視するかのような高圧的態度に終始したことにほかならず、互いに違う土俵での戦いを主張し、かみ合わないまま、平成十二年都区制度改革の趣旨や主要五課題を確認した経緯からも大きく隔たるものとして、都側に押し切られた形になりました。
ターニングポイントの一つには、区側がタイムリミットの迫る中で一つ一つ検証していく作業は限界との判断により、それまで主張されてきた五課題の一括解決を、年末の区長会で、大都市事務の役割分担を都区制度の将来のあり方の課題として位置づけ、方針を転換したことだと考えます。これにより、他の三課題についての理論立てが崩れ、結果、都側の「仕事が移譲されないのに配分割合を見直すことはあり得ない」という論理に押し切られる格好となったわけです。
今回、区側の土壇場での足並みの乱れは、とりもなおさず二十三区のそれぞれのバックボーンの違い、いわゆる財政状況の違いにほかならないと思うのです。このことは、まさに二十三区は同床異夢の集団であるとの思いを強くし、喪失感を覚えたのは私ばかりではないと思います。
これからも都区は、平成十二年の都区制度改革に区切りをつけ、大都市事務の課題を共同で設置する機関で検討を始めるという新たな土俵が用意されたわけですが、ここで一番重要なことは、区民の視点に立って区民の皆さんとともに議論を進めていかなければ、また行政間のパワーゲームに終わってしまう懸念を強く抱くものであります。
区長所信表明でも「人は、自らの生活空間、社会空間を自らの意思で形成できるからこそ地方自治である」とし、「区民の皆様とともにもう一度自治の原点に立ち、地方自治のあり方について考えていただくこと」と明快に発言されておられることも、我が意を得たりとの思いを強くしております。
先ごろ特別区制度調査会も検討を再開したと伺っております。
そこで、区長にお伺いします。
自治の原点に立ち返り、渋谷の未来像の構築に向け、区、区議会、区民を一体感あるものとしてどのように論議を展開されていかれるおつもりか、また、このことを踏まえた上で、近い将来、渋谷区の将来展望を内外に明確に表明すべきと考えますが、区長のお考えをお聞かせください。
次に、三位一体改革の渋谷区の影響についてお伺いいたします。
桑原区長は、平成十八年度を初年度として平成二十年度までの三カ年を計画期間とする新たな渋谷区実施計画を策定されました。これまでの計画の成果を受け継ぎつつ、事業の重要性、緊急性など総合的な検討の上に立ち、従来の計画内容を、新たな視点に立ち見直しを図ったものであります。
その内容は、高齢者福祉の充実、障害者福祉の充実、少子化対策、旧大和田小学校跡地複合施設の整備、協働型のまちづくり、震災対策の強化、電子自治体の推進等区民サービスの向上等、多岐にわたり、区の抱える課題を具体的に示し、対応を図るために重点事業を明示する等工夫を凝らした、区長としての二度目の実施計画であります。
この実施計画を確実に推進するものとして平成十八年度予算が示され、子どもからお年寄りに至るまで区民各位のライフサイクルにきめ細かく配慮され、安心して健やかに暮らせるまちの実現に向けた予算案だと思うのであります。
一方、国は地方分権を推進するために三位一体改革を図るとして、地方へ税源を移譲するため、個人住民税率を一〇%にフラット化を内容とする税制改正を予定しております。それによれば、本区では、税源が移譲されるどころか逆に国・都に移譲することになり、区財政の大宗を占める個人住民税は大幅に減収となり、国庫補助金の削減に加えて減収幅が増大すると伺っております。このままでは実施計画に定めた計画事業の推進、区民サービスの実現に影響が出てくるんじゃないかなと危惧するものであります。
そこで、国の三位一体改革と区の行財政運営につきまして、区長にお伺いいたします。
まず、三位一体改革の本格的影響が出るのは平成十九年度と聞いておりますが、住民税、国庫補助金、区財政に与える影響をどの程度に想定しているのかお伺いいたします。
次に、本区はこれまでの危機的な状況においても、区長を筆頭に行財政改革を重ね、都区財政調整交付金に依存することなく、二十三区の中でも最上位を示す財政指標に見られるように、強固な財政基盤と健全財政を堅持してきたことをまず評価するものであります。しかし、三位一体改革は、本区の財政基盤に大きな影響を与えると存じますが、どのように行財政運営を推進し、この難局を乗り切るか、区民サービスの充実に努められるのか、お伺いをいたします。
次に、震災対策についてお伺いいたします。
平成十六年八月、政府の地震調査委員会が、南関東で発生するマグニチュード七程度の地震の発生確率を、今後三十年以内に七〇%、今後五十年以内に九〇%であると発表しました。同年十一月には中央防災会議が、首都圏の直下で大地震が起きる場合の震源域十八カ所を想定し、各地がどれぐらいの揺れに襲われるのかを予想し、震度分布を発表しました。その中で、切迫性や都心部の揺れの強さ、広域的広がりのある東京湾北部地震(荒川河口周辺直下プレート間地震、マグニチュード七・三)では、区内のほとんどの区域が震度六弱であり、さらに、基本的な被害(死者)が大きい都心西部直下地震(新宿駅周辺直下地震、マグニチュード六・九)では、区内のほとんどの区域が震度六強であるとされました。その後、十一月にはそれらの地震に基づく被害想定が発表され、最悪の事態で都内全体で死者が一万一千人、全倒壊家屋が五十万件と発表されました。
そのような被害想定の発表が続く中で、平成十六年十月二十三日、震度七、死者四十人を超える新潟県中越地震が発生し、翌年、十七年三月二十日には震度六弱を観測した福岡県西方沖地震が、四月十一日には震度五強の千葉県北東部地震、七月二十三日には強度五強の千葉県北西部地震、八月十六日には震度六弱の宮城県沖地震が発生しました。
一方、中央防災会議は、十七年九月に「首都中枢機能の継続性の確保」と「膨大な被害の軽減と対応−−地震に強いまちづくり」を柱に掲げた首都圏直下地震対策大綱を発表しました。この中で、建物の耐震化、防火対策、避難者対策、帰宅困難者対策、企業防災力の向上等々を国全体で取り組んでいく国民運動の展開を提言し、国家的課題として強力に推進しようとしています。
このような動きの中で、桑原区長は新潟県中越地震の実際に踏まえて、渋谷区の震災対策を検証し、調整の整ったところから実施に移していくとのことで、ペットボトルの備蓄や毛布、マット、衛生用品等の充実、避難所の仮設トイレ整備等推進を図り、地域防災計画の引き続きの検証を示されました。これらのことは、九月一日の総合防災訓練においても一月十七日の渋谷区防災点検の日においても、また、地域訓練の充実の中に着実に形になって成果を上げてきているものと、頼もしく思っております。
さらにまた、国の機関のデータ公表や都の被害者想定にとらわれているだけでなく、渋谷区独自の被害を想定し、区の対策をしっかりと構成していこうとする震災対策基礎調査を行うことは大変意義深いことであろうと思います。
この震災対策基礎調査は、既存のデータや過去の地震での倒壊率等の経験的な値からデータを導き出すものではなく、区内の四万棟弱のすべての建物を外観から調査し、その他のデータを精査しながら震災危険度マップ−−ハザードマップをつくっていくもので、内閣府が示す地震防災マップ作成技術資料の計算方式を上回るすぐれたものであると思います。
国の機関の発表に実際の地震が重なり、首都圏の地震の切迫性が叫ばれ、区民の関心はいや応なしに高まっています。この危機感が高まる中で、その成果を速やかに区民の前に示し、安全なまちづくりに生かしていただきたいと考えます。新年度予算の中にも、家具転倒防止の相談や取りつけ拡大、耐震補強工事経費の補助等、具体的な政策が盛り込まれており、これらを実現する大きな動きが期待されます。
それを踏まえた上で、区長に伺います。
まず第一に、ハザードマップにより−−震災危険度マップですね、区民はそれぞれに自分の住む地域の危険度を知り、心配や不安を抱くこともあります。そうしますと、活用の方法がそれぞれ払拭する重要なポイントになります。そこで、でき上がったハザードマップをどのように活用していくのかを伺います。
二つ、震災対策基礎調査は、外観目視情報により建物の危険度を算出するものであります。中には、内部は頑固な鉄骨組みであっても、外観をデザインとして古風な建物としているところもあり、また、古い建物、木造家屋であっても、既に耐震補強を行ってあればおのずと評価は変わってきます。そのため、外観データを集積したハザードマップには合理性、妥当性が求められますが、区長はどのようにお考えなのか伺います。
さらに、震災対策基礎調査は、個人の居住に関する情報を集め、それを整理し、データ化し、公表していくわけであり、十分な注意が必要です。今後どのような形でハザードマップを公表し、それに当たってはどのような注意を払っていくのか、お伺いをいたします。
続きまして、建築物の高さ制限の導入についてお尋ねいたします。
渋谷区は、文教住宅都市としてのまちと渋谷副都心による商業・業務・交通拠点としてのまちの二つの性格を持っております。この二つのまちの調和のとれたまちづくりを推進し、区と区民、企業等が相互に連携・協力して進める「協働型のまちづくり」を目指して、昨年十月にまちづくり条例を制定しました。私もこのことについては賛同する者の一人であります。
そして、その実現化方策として、「協働型のまちづくり」の基本的手法として、地域の合意に基づく地区ごとのまちづくりルールである地区計画の策定を今後とも推進する区長の考え方について、まさにそのとおりであると私も思っております。
しかしながら、区内を見渡してみますと、様々なところで建築物の規制緩和を受けて、大規模敷地や幹線道路沿道では大きな、しかも高層の建築物が建設されるなどして、建築紛争が多発しております。
住居型の用途地域のすぐ近くにこうした大規模な、かつ高層の建築物が建築された場合、これまで長年にわたり地域で形成されてきた居住環境は一変し、これまで守られてきた景観や街並みが失われてしまいます。また、近隣の住民や日照被害、風害、プライバシー被害など、大変大きな被害を受け、住み続けていくこと自体の困難にさらされます。一たんそうした建築物、建物が建築されてしまえば、その後、何十年にもわたって近隣住民は厳しい環境の中で生活をしていくほかはありません。
こうした課題にしっかり目を向け、このたび区長が建築物の高さ制限の必要性を認識され、地区計画の手法を基本としながらも高度地区による絶対高さ制限を導入する方向を打ち出されたことにつきましては、高く評価するものであります。
一方、この建築物の高さ制限を設けることについて、心配する点もあります。
一点目は、土地の高度利用に一定の制限を加えようとすることにより、建築物の建て替え更新ができなくならないように配慮しなければならないということであります。例えば、特に老朽化したマンションにお住まいの方々が、安心して住み続けられるために建て替えをしようとしたとき、高さ制限があるため建て替え更新ができなくなり、被害に強いまちづくりと相反することになってはならないということであります。
二点目は、都市の活力を失うものであってはならないということであります。
渋谷区は、都市基盤施設の整備や商業・業務機能の集積により、生活文化を発信する副都心としての育成も必要であり、土地の高度利用の推進も求められているところでもあります。今日的に様々な課題があると思いますが、こうした点についても十分配慮していただき、まちづくり条例の基本理念と渋谷区の都市将来像をしっかりと見据えて、建築物の高さ制限の導入に当たり、計画的かつ総合的に検討がなされることをお願いした上で、区長にお尋ねいたします。
建築物の高さ制限、それを導入するに当たり、具体的にスケジュールとその内容をお聞かせください。
次に、首都高速道路中央環状新宿線及び山手通り拡幅整備事業についてお尋ねをいたします。
この事業につきましては、私も環境問題を含め、道路が拡幅整備されることに伴って生じる様々な課題を取り上げ、東京都や首都高速道路株式会社と交渉を重ねるとともに、区議会本会議においても、渋谷区としての取り組みについてたびたび質問してまいりました。
この間、区長は地域住民の要望を受けとめて、先頭に立って問題解決を図ってこられたことについては高く評価するものであります。
現在、工事は平成十八年度末の完成予定に進められておりますが、特に沿道住民は長期間にわたり騒音、振動に悩まされており、その完成を待ち望んでいるところであります。しかし、昨年末に中央環状新宿線の完成が最大三年遅れの新聞報道がされ、また、これに関連して石原東京都知事もその見通しに触れられたことと仄聞しており、完成予定が三年遅れ、工事が十九年度以降も継続されることについて地域住民は非常に心配しております。
そこで、区長に伺います。
こうした状況を踏まえ、今後の首都高速道路中央環状新宿線が山手通り拡幅整備事業の遅れに対しどのように対応されていくのか、お聞かせください。
次に、福祉であります。
昨年、高齢者福祉に関しては介護保険法の改正が、そうして障害者福祉に関しては新たな障害者自立支援法が制定されるなど、福祉を取り巻く状況は大きく変化しております。これからは制度の持続可能性を高めるとともに、高齢者や障害者の方々の尊厳の保持と自立の支援を強化していくための取り組みであります。
しかしながら、これまでのサービスの内容や負担のあり方が変わるため、不安を持つ区民がいることも否定できません。我が自由民主党区議団は、その不安を取り除くため、これまで節目、節目に制度としての問題等をただすとともに、解決策を提案してきたところでありますが、いよいよこれからの新制度が本格的に実施される四月が目前に迫ってくることから、改めて「安心して暮らせる福祉のまち・渋谷」を区長とともに実現していく決意のもと、何点か区長についてお伺いいたします。
まずは介護保険についてであります。
介護保険については、既に昨年十月から入所施設における、いわゆるホテルコストの徴収が始まるなど、改正法の一部が実施されております。その実施に当たっては、補足給付など新たな低所得者対策が用意されましたが、制度の変更により利用者の負担が増えることから、現場での混乱や負担増に対し、不安視する向きもあったところであります。
これに対し、区長は、区民の不安を解消するため様々な工夫をされました。すなわち、特別養護老人ホーム入所者の負担については社会福祉法人による利用者負担軽減制度を活用するとともに、ショートステイの滞在費と食費、デイサービスの食費については渋谷区独自施策である介護保険サービス利用者負担額助成制度を拡充し、その四分の一を助成するなど、低所得者の負担を軽減いたしました。
また、現場でも、利用者や家族の方々にきめ細かな説明会を開催し、混乱なくスムーズに新制度に移行できたことは高く評価するものであります。
このような実績を持つ区長であるがゆえに、今回の制度改正においても区民が安心して介護保険を利用できるよう、様々な対策がなされていると確信しておりますが、この安心を確実なものにするために、お伺いいたします。
介護保険について質問します。
平成十八年から二十年までの第一号被保険者の新たな介護保険料については、昨年十一月に報告された介護保険事業計画等作成委員会の中間まとめにおいて、現行の月額三千三百八十二円を約四千三百円に引き上げなければならないことが示されております。超高齢化の進行に伴い、介護サービスを利用する人が増していく上でも、やむを得ないところではあります。
しかし、景気が回復しつつあるとはいえ、安易な負担増を求めることは高齢者の生活に直結し、消費の萎縮を招きかねないなど、ようやく明るい兆しが見え始めた経済に対しても結果として悪影響を与えることにつながりかねません。区民の生活全体を見通した上で、適切な判断が強く求められていると思いますが、新介護保険料の制定に当たって、区長はどのようなお考えに基づきどのような負担を求めていくこととするのか、お伺いをいたします。
また、皆が公平に費用を負担し、介護を社会全体で支え合っていくというこの制度の基本理念は、区民にも理解されていると考えますが、現実には負担が困難な方もいらっしゃいます。そのような真に負担が困難な方への個別の対策として、これまで渋谷区は独自の保険料軽減策を実施してきましたが、この点についても拡充等を図る考えをお持ちなのか、あわせてお伺いいたします。
次に、介護サービスであります。
介護保険では、介護予防重視の観点から、新予防給付や地域支援事業等が創設されました。これまで要介護一とされていた方は今後、要支援二と要介護一に区分され、要支援と認定された方は新予防給付を利用することになります。また、自立と認定された方については、「特定高齢者」と言われる虚弱な高齢者には地域支援事業を実施し、要介護の状態になることを防ぐことが求められるようになるなど、利用できるサービスが大きく変わることになります。そのため、新たなサービスが本当に利用できるのかを不安を持つ方がおられます。
そこで、利用者が安心してサービスを受けられるよう、お伺いいたします。
まず、要介護認定についてであります。
これまでも調査、判定は公正・的確になされていると評価していますが、制度の変わり目でもあることを考慮し、これまで以上に慎重に行うとともに、苦情等についても丁寧に対応していただきたいと考えます。いかがでしょうか。
また、新予防給付については、利用希望者が利用できるだけのサービス量が確保できているのでしょうか。サービス利用量の見込みや事業の準備状況を教えてください。
次に、地域支援事業として、渋谷区はどのような事業を実施しているのか、具体的に教えてください。
また、地域支援事業の実施に当たっては、効果を高めるためにも特定高齢者を適切に抽出し、それぞれの事業に受け継いでいくことが重要だと考えますが、具体的にはどのような方法がとられますか。
最後に、渋谷区には介護保険の利用料について、真に負担の困難な方には独自に介護保険利用者負担額助成制度を設け、負担軽減に努めてきたところであります。これらの新たなサービスにおける利用者負担についてはどのようにお考えでしょうか。
次に、基盤整備についてであります。
まず、地域包括支援センターについてであります。
従来、在宅介護支援センターが果たした役割を新たに担うことになる地域包括支援センターは、各地域における福祉の総合相談窓口であり、サービスの提供や支援の拠点でもあります。区長は八カ所体制とする方針を打ち出され、平成十八年度から七カ所体制としてスタートできるよう、新たに大向地区の地域包括支援センターとして高齢者センターの準備を既に整えたとのことでありますが、八番目となる本町については、そのスケジュールはどうなっているのかお伺いをいたします。
次に、高齢者センターについてであります。
区長が所信表明で述べられましたように、シニアクラブ活動を初めとする高齢者のスポーツや趣味などの活動に対する支援は、これからの団塊の世代が高齢者の仲間入りをする時代にあって、非常に重要な意義を有するものであると評価するものであります。また、こうした元気なシニア全体の活動が、地域や世代間の交流を通じて地域コミュニティの再生や活性に寄与していくものと期待するものであります。
それゆえに、その活動の拠点となる場も、単に高齢者だけのための施設ではなく、多様な活動に生かせるよう、多角的な視点から整備を進めることが重要であろうと考えるものであります。
そのような施設の一つである高齢者センターは、その第一号がこの十一月に幡ケ谷地区にオープンをする運びと聞いております。また、富ケ谷地区でも計画が進むとともに、新たに代々木地区でも計画されております。特に富ケ谷地区での計画は、区有地と町会所有地とをあわせて活用しようというものであり、三位一体改革に伴う財政状況の厳しさを思えば、一つの有効な手法と評価できるのではないでしょうか。是非町会とも連携・協力し、計画を進めていただきたいと期待するものであります。
そこで、これらの高齢者センターの整備の今後のスケジュールはどうなっているのか、お伺いいたします。
次に、障害者福祉についてであります。
昨年成立した障害者自立支援法は、障害者基本法の基本理念にのっとり、これまで障害者種別ごとに異なる法律に基づいて提供された福祉サービス等について、共通の制度のもとで一元的に提供する仕組みを創設するほか、サービス等の費用負担については国が義務的に負担する仕組みに改めるなど、制度を充実するとともに、障害者の方々の尊厳の保持と自立の支援を強化するものであります。
しかし、その内容は、これまでの支援費制度から大きく転換するものであり、利用者やその家族に与える影響が非常に大きいと考えます。
そこで、利用者や家族が引き続き安心してサービスを利用できるよう、区長にお伺いいたします。
まず、利用者負担であります。
四月一日から障害者サービスの利用者負担については、原則一割の定率負担となり、現行の支援費制度における負担とは大きく変わります。障害者の方々の所得が必ずしも多くないという状況を考えますと、利用者やその家族に与える影響が大きいと言わざるを得ません。
そこで、この定率負担への変更には低所得者への対策が欠かせないと考えられますが、どのようになっているでしょうか。
また、自治体の中には、独自に負担軽減策を実施することがあるとの報道もありますが、渋谷区として、利用料の減免などの低所得者対策を実施する考えがおありなのか伺います。
次に、利用者やその家族への周知であります。
障害者自立支援法に対する関心は高く、一月から二月にかけて区が実施した説明会には非常に多くの方が参加されたと聞いております。この障害者自立支援法は、その内容が順次施行されるため、国の政省令等の準備が遅れておりまして、全体として詳細がいまだに明らかになっていない部分もあります。特に障害福祉サービスについては、今後、従来のサービスが新たな体系に整理され、十月には順次実施されていくことを考えあわせると、先ほどの利用者負担における低所得者対策だけではなく、制度そのものについても、今後さらに利用者や家族の方々への情報提供や周知徹底が重要になると考えますが、いかがでございましょうか。
国では、この答申に盛り込まれた内容について各項目ごとに新たなる検討が続けられていると聞いております。先月の新聞には、次の学習指導要領は、すべての教科の基本として「言葉の力」を据えること、また、ゆとり教育についても転換の方向ではないかと報道もされているようであります。
これまでも渋谷区では教育目標と基本方針に基づき、英語教育重点校の松濤中学校、中高一貫連携校の広尾中学校、教科教室型の上原中学校などの特色ある学校づくりを進め、学校教育の充実に様々な形で取り組んでいます。こういった国の動向を踏まえて、将来を担う子どもたちのために今後の渋谷区の学校教育はどのような方向を目指していくのか、教育委員会としての考えをお示しいただきたいと思います。教育長にお伺いいたします。
また、三月末の完成に向けて、現在、工事中の上原中学校についてお伺いいたします。
待望の上原中学校の校舎でありますが、工事の進捗状況がやや遅れ気味との話も聞いております。三月の卒業式、四月の入学式など大切な学校行事となる予定なのか、改めてお聞かせください。教育長の所見を伺います。
また、現在、上原中学校が仮設施設として使用している旧代々木高校跡地の活用について伺います。
旧代々木高校跡地は、校舎についてはもともと土地、建物とも渋谷区の財産であり、体育館とグラウンドについては土地、建物とも東京都の財産であり、上原中学校が使用するために借用しているものと聞いております。
交通の便もよく、高台の良好な環境にある貴重な財産である旧代々木高校跡地については、区内の文化・スポーツ施設などの地域的なバランスも考慮して、将来の活用の期待も高い場所ではないかと考えます。上原中学校が改築移転の後は、当面は旧大和田小学校跡地施設にある施設機能の仮移転場所として活用されるとの話も伺っていますが、その後の旧代々木高校跡地を買収し、新たなる区民福祉の拠点づくりをすべきと考えますが、区長、どうでしょうか、考えを聞かせてください。
次に、二学期制の導入結果について伺います。
渋谷区では、子どもたちの学力の向上のため取り組みが様々な形で進められていますが、平成十七年度から、区立のすべての小・中校と幼稚園に二学期制が導入されました。前期と後期の間となる、昨年の十月の体育の日の前後には、いわゆる秋休みが設けられ、子どもたちは、それぞれの過ごし方で初めての秋休みを体験したものと伺っています。
それぞれの学校や幼稚園では、この二学期制の利点をどのように生かし、また、導入に際しどのような課題があったか、どのように工夫をして取り組んできたのか、導入された最初の年度である本年度の二学期制の実施状況についてお聞きしたいと思います。教育長、お伺いをいたします。
渋谷区では、学区域外の学校を選択することができる学校希望選択制を導入し、平成十六年から小中学校で実施しています。平成十六年度以降、平成十八年度、この四月に入学する新入生まで三年度にわたり実施してきた学校希望選択制を、これまでのところでどのように評価をされているか、教育長の御所見を伺います。
また、昨年来、子どもたちが犠牲となるような痛ましい事件が続いています。一方では、学校希望選択制導入により、これまでより遠くから通学してくる子どもたちが増えているのではないかと思われます。通学路において安全性の確保が課題となっている昨今の社会情勢の中、教育委員会として安全対策についてどのように考えているか、教育長の所見を伺います。
放課後クラブについて伺います。
昨今、合計特殊出生率といった数字が報道で大きく取り上げられ、少子化対策、子育て支援が国や社会全体の重要課題とも言われる状況にあります。
一月末から新たに神南小学校、富谷小学校で放課後クラブが開設されたと聞いております。これによって、既に小学校七校に放課後クラブが設置されたことになります。学校の中に放課後クラブが設置されることで、学校から離れた所にある学童館に通うための安全面からの不安からも解消されるため、各学校の保護者から、一日も早い放課後クラブの開設を望む声が寄せられていると伺います。
一方で、学童館を廃止することに反対する運動もあると聞きます。また、学童館に通わせる子どもたちの保護者も参加している「保育園を考える親の会」といったグループの皆さんからは、学童クラブについて緊急の要望として、学童クラブが放課後クラブに移行することについて、今後の学童館施設の活用の方向や、これまでの学童クラブ機能が放課後クラブにどのように引き継がれていくのかについての説明が求められています。
平成十七年第四回定例会において、区長は、今まで学童館が担ってきた学童保育事業は、その役割を小学校に設置する放課後クラブ事業に順次移行していくとの意向を示されました。区政運営全体を踏まえた総合的視野からの考えであると思いますが、このことについては、今後の学童館施設の活用の方向を踏まえて、区長の所見を伺います。
また、平成十八年度当初予算において、放課後クラブ事業についてはさらに六校分の経費が計上されていますが、平成十八年度に開設される予定である具体的な学校名と開設時期を、さらに残り七校の開設予定時期について、放課後クラブにこれまでの学童クラブ機能がどのように引き継がれていくのかを含めてお聞かせください。教育長の所見を伺います。
次に、総合型地域スポーツクラブへの支援、育成について伺います。
国・文部科学省は、国民のだれもがそれぞれの体力や年齢、技術、興味、目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことのできる生涯スポーツ社会の実現を目指して、地域住民の自主・自発性により自立的な運営体制を整え、子どもから高齢者までの多世代が多種目、多目的のスポーツ活動を、専門的な指導者により身近な地域で楽しむことのできるクラブとして、平成七年度以来、総合型地域スポーツクラブの育成を目指しています。
渋谷区においては昨年十一月に初台地区が、今年に入り、先日は笹塚・幡ケ谷、本町、新橋、上原・富ケ谷に、それぞれ総合型地域スポーツクラブが設立されました。合計五つのクラブが立ち上がりました。
これまで地域の発意で設立された総合型地域スポーツクラブに対して、区または教育委員会として今後どのように支援をし、育成をしていくのか、考えをお聞かせください。教育長にお伺いをいたします。
渋谷区少年スポーツ団体協議会への負担金の問題について伺います。
この渋谷区少年スポーツ団体協議会負担金は、地域で子どもたちのためサッカーや野球、柔道や空手、スポーツ活動をしている団体に対して夏季合宿の交通費の一部を支援する趣旨で、団体や保護者からの要望により、平成九年度以来、助成されてきたものであります。
平成十七年の第三回定例会の決算特別委員会において、渋谷区少年スポーツ団体協議会負担金に関して、関係四団体の負担金が自主返還されたことについては教育委員会よりも報告がありました。その後、渋谷区少年スポーツ団体協議会への負担金についてはさらなる調査が行われたことを聞いています。その調査結果について、改めて報告を求めたいと思います。教育長の所見をお伺いいたします。
よろしくお願いいたします。