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平成20年第1回定例議会における代表質問
質問者 丸山 高司

私は、自由民主党議員団を代表して、大きく9点、区長及び教育長に質問いたします。質問に入ります前に一言述べさせていただきます。本日3月4日は、江戸時代中期の国学者であり、歌人としても有名な賀茂真淵が奇しくも生誕した日であります。現在白根記念渋谷区郷土博物館・文学館において、3月23日まで特別展が開催されておりますし、またその子孫に当たる方が渋谷区にお住まいと聞き及んでおり、不思議な因縁を感じるところであります。賀茂真淵は、古道を知るには儒教や仏教の影響を受けていない、日本の古典が伝えている日本人の素朴な精神によらなければならないとし、「万葉集」を研究しました。その結果見いだした、日本人の素朴で雄々しい精神を「高く直き心」と呼び、そしてその「高く直き心」とは、おおらかな風儀即ち「ますらおぶり」だとしたのであります。彼は、この古代の純粋さを甦らせこの心を伝えることによって、社会がよりよいものになると確信し、活動されました。彼が影響を与え輩出した門人の中には、本居宣長や塙保己一などがいます。私はこうした渋谷と縁の深い先人を今後も顕彰し、日本人が本来兼有していた知徳を渋谷の子どもたちに伝承することにより、ともすれば現代社会が個人主義に陥っている現状から脱却し、真に心豊かな子どもたちが本区において、育めるものと確信いたします。こうした事績を知る機会をお作りになった区長に改めて感謝申し上げますと共に、さらに機会を捉えてこうした事業をますます充実していただきますよう要望いたしまして、質問に入ります。 はじめに、新年度より新規に実施する事業について、その意図するところを中心に伺います。最初に、高齢者等の生活安定のための総合対策について伺います。
最近の原油価格の高騰は、2月20日のニューヨーク市場において、一時、1バレル101.32ドルと、史上初めて101ドル台の値をつけるなど、異常ともいえる水準で推移しております。この原油高騰による値上げが日用品や食料品にも影響を及ぼし、続々と値上げされ、区民生活に多大な打撃を与える一方、老年者非課税制度の廃止や定率減税の廃止とあいまって、高齢者等の低所得者層の生活に、大きな影響を与え始めております。
こうした事態を憂慮され、区民生活の安定を最優先にされる区長におかれては、高齢者を中心とする低所得者に対して、住民税の個別減免をはじめとして、介護保険料の軽減や、障害者の生活介護、短期入所における昼食代の軽減、さらには、生活保護世帯への夏、冬の法外援護など、区民生活安定のための総合対策を来年度予算に盛り込まれました。このことを過去、一般会計当初予算案に賛成したことのないある会派は、区長に要望し実現させたような論調を展開していますが、こうしたパフォーマンスに幻惑されることなく、区民に視点を当て、ぶれることのない「住み続けられる渋谷」を希求した桑原区政の英断と評価するものであります。そこで住民税の減免について伺います。今回の減免は、現行の区税条例第36条の規定による現行制度を活用されての事と認識しておりますが、その点についてのお考えをお聞きいたします。この視点を明らかにすることにより、渋谷が富裕区だからと言う雑音を払拭し、真に区民の生活安定に根ざした施策と確信するからであります。区長のご所見をお伺いいたします。
次に、介護保険料の軽減について、質問いたします。渋谷区における、平成18年度末の総人口に占める高齢者人口の割合は、17 .80%であり、総人口20万8千人の内、約3万7千人が65歳以上の高齢者であり、介護保険の被保険者となっています。また、そのうち、介護や支援が必要であるとの認定を受けられている方が、約7千人であります。今後、介護保険の果たす役割は、ますます重要になると考えます。
第2期の計画から現在の第3期の計画に移行するに当たっては、平成18年度の税制改正の影響を極力なくすために、所得区分の段階が上昇した場合には、急激な介護保険料の負担増とならないように、「経過措置」がとられました。即ち、平成18年度及び19年度の負担が、通常1/3ずつのアップとなるのを、それよりもさらに少ない負担増に押さえ込むなど本区ならではの配慮がなされました。今回は、その「激変緩和措置」を来年度においても平成19年度と同額で継続するということであります。さらにそれに加えて、本区独自に、生活保護受給者を除く、住民税非課税の高齢者の方、所得段階でいえば、第1段階から第4段階の方の介護保険料を「2割軽減」することを打ち出されました。これにより、年間保険料が4.100円から最高8.200円も軽減されることとなり、収入を主に年金に頼らざるを得ない高齢者が多い中、本施策は、高齢者の力強い生活支援となる時宜を得た画期的なものと評価いたします。一方で、現在の第3期介護保険事業計画は、平成18年度から20年度の3カ年を計画期間として策定されたものであるため、今回の介護保険料負担軽減策が、事業計画全体に一定の影響を与えるであろう事は予測いたすものであります。当然、現事業計画への影響だけでなく、平成20年度に改定が予定されている次期計画に向けての見通しも十分考慮された上での決断であると存じますが、本施策の適用に当たっての基準や基本的な考え方、さらには、具体的な対象者やその効果、現行計画や次期計画への影響等についてどのようにお考えなのかお尋ねいたします。
次に高齢者福祉であります。区長は区政の最重要課題の一つとして、行政の事業現場や区民活動の現場に日常的に出向き、高齢者の方々の意見に耳を傾け、そこから具体的な問題点や課題をきめ細かく把握され、施策に反映される努力を重ねておられることにいつも感服させられます。そのような中から、先ほどの「所信表明」の中でも述べられておりました、高齢者の「ひざ対策」について、高齢者の社会参加のキーポイントとする着眼点も、区内高齢者の日常生活の現場を熟知している区長であればこそのアイデアだと、評価するものであります。そこで、まず「地域ネットワークサポート事業」についてお尋ねいたします。本施策は、昨年の第3回定例会において、我が会派の代表質問に対し、その方向性を早速、具体的にお示しいただいたものと理解するものであります。地域包括支援センター単位に区内8地区に、各地区で地域のマンパワーを借りて、10名程度の「ネットワークサポーター」を組織して、認知症や病気への対応、財産管理や各種サービスの申請など、様々な問題を抱える高齢者の日常生活の見守り、援助、医療や介護への橋渡しをしていこう、というこの事業はまさに高齢者の生活を総体的にとらえ、生活に密着した施策であります。今後、縦割り的な施策や制度の狭間で問題を抱え、困窮する高齢者を生起させないとする強い意志が伝わって参ります。またさらに申し上げれば、地域住民皆で支え合うということで、地域の活性化、地域コミュニティの振興そのものにもつながると考えます。本事業は、単に「高齢者施策」という考えにとどまらず、行政と地域が協働で推進していくことで、「人と人とのつながり」が広まり、かつ深くなる。そこで構築されたものはやがて、災害時の住民の相互協力にも、犯罪から町を守り、子供を守る防犯活動にも、地域の美化活動にも連綿としてつながっていく、そのような大いなる可能性を秘めた施策であると、また、そのような「きっかけづくり」となるとの区長の想いが、願いが込められているのではないでしょうか。そうであるならば、本事業を円滑に立ち上げ、しっかりとした安心のネットワークとして広げ育てていくには、地域の方たちのこの事業に対する理解と積極的な協力が不可欠であり、また上滑りにならず地域に根ざした本物の活動となるには一朝一夕に構築できるものではないと考えます。地域住民と行政また、地域包括支援センターだけでなく、他の関係事業者をも巻き込み、ぞれが連携・協力し合う体制をどう作り上げ実現していかれるのか、その具体的な手順や今後の予定についてお尋ねいたします。
続いて、「地域在宅療養支援体制の整備・強化」について伺います。医療的ケアが必要なため、介護施設を利用できない、また長期入院となるため、引き続き入院継続することが事実上出来ないという方が少なくないと仄聞しております。そのような中で、国では、医療費削減や患者の入院を持続させる、いわゆる「社会的入院」の解消を目的に、2011年度末までに、高齢者が長期入院する「療養病床」を削減し、老人保健施設などへ転換する方針を打ち出しております。従って今後は、「在宅での療養」がますます重要となってくるであろう事は十分想定されますし、それを支える、身近な地域での体制整備はどのように推移するか区民の不安もそこにあると存じます。今回、区長が「地域在宅療養支援体制の整備・強化」を打ち出されたことは、こういった区民の不安を解消するもので、タイムリーな対応であると存じます。在宅療養については、このような方々だけではなく、すでに在宅療養中だが、もっと充実したサービスを受けたいという人や、在宅療養を始めるに当たって看護・介護が家族中心になり、家族の負担が増えるのではないか心配する方もいると考えますので、こうした方々が、気軽に相談でき、適切な在宅療養サービスを受けられる支援体制の整備と強化を、具体的にどのように図っていくお考えなのかお示しください。
次に障害者福祉について質問いたします。平成18年度にスタートした障害者自立支援法では、利用者に、原則「1割負担」をお願いしておりますが、自立支援法の目的である、就労支援の充実による所得の確保が十分でなく、利用者やその家族にとって負担となる方々が現実問題として存在いたします。そのため国では、負担軽減措置の対象者拡大や負担上限月額の更なる引き下げなどの特別対策を実施すると共に、それを平成20年度限りの措置としてではなく、今後も継続して実施することとしております。本区では、これまでも国にさきがけ、区独自の軽減策をきめ細かく実施されてきており、今回さらに、新たな軽減策として、生活介護と短期入所での昼食代の負担軽減策を打ち出されました。このことは、日々の生活にご苦労されている利用者やご家族の方々にとっては、安心して渋谷に住み続けられる糧となるのではないでしょうか。区長は、今回、いわゆる経済的弱者と言われる方々の生活安定のための総合対策として様々な施策を打ち出されておりますが、今後も諸物価の高騰が予想される中、障害のある方々の負担を軽減する方策として、食事負担の軽減策のほかにも、何かお考えでしょうか、区長にお伺いいたします。 次に、「子ども発達相談センター」についてお尋ねいたします。渋谷学童館の改修後に「子ども発達相談センター」を開設し、「子育て支援センター」とあいまって、子供とその家族を支援していくための施設として有効活用される計画が示されております。発達に問題を抱える子どもが、早い時期から専門家の助言・指導を受けることで発達や機能維持・向上を図ることを可能にするため、新たに相談の専門機関を設けることは、発達上配慮を要する子どもを抱える保護者や家族にとって、力強い支援となることと確信いたします。発達相談については、「子どものことが心配だが、相談しづらい」とか、「誰に相談すればいいかわからない」と躊躇される保護者も多いと聞きます。是非気軽に相談できるセンターにしていただきたいと存じます。またここで重要なことは、専門家の助言・指導が保護者や家族はもちろんのこと、保育園や幼稚園、学校現場、放課後クラブや子育て支援センター等とも連携がしっかりとなされ、その子どもの日常の生活・活動の場においても活用され、その子どもの将来の幸せのために役立てられることであります。そこで、今後、「子ども発達相談センター」と保育園や幼稚園、学校等関係機関との連携体制をどのように構築されていくのか御所見をお伺いいたします。
次に「保育園の新設・建て替え」について、区長に伺います。本区の認可保育園を希望する、年度当初の待機児数は、ここ数年60人から70人を数えておりましたが、この間、保護者の就労形態の多様化などによるニーズの拡大に対応して、保育園の新設、定員の拡大などの保育環境整備に努めた結果、19年4月時点では、32人まで減少してきており、区長の公約とする「待機児ゼロ」まで、もう一息のところまでやってきたと認識いたします。その中で、民間活力を活用した「認証保育所」も6カ所が設置され、定員も166名までになり、大きな役割を果たしてきたと存じます。先ほどの所信表明の中でも「働きやすい環境作り」として、保護者の就労形態の多様化や入所待機児解消等に対応して「民設民営方式」による、定員50名程度の認可保育園の新設を述べられております。区内の民間事業者による私立の保育園においても、それぞれのノウハウを生かし、保護者から高い評価や信頼を得ているところがいくつもあります。こうした、民間の新しく柔軟な発想を生かしたノウハウを取り入れて、保護者の多様化する保育・子育てニーズに応えていく、新しい形態の認可保育園が新設され、運用されれば、子育て世代の区民皆様から大いに評価、受け入れられるのではないでしょうか。その場合、当該事業を進めるに当たって、区施設を貸与して、こうした手法で施設整備を行うのは、本区では初めての試みであると思いますが、その基本とする考え方、具体的にはどのように進めていくのか、区長のお考えをお示し下さい。また、「渋谷の未来に向けて」の中で、子育て支援施設の整備に当たっては、「耐震対策はもちろんのこと、子どもたちの豊かな情操を育てる観点から、ゆとりあるスペースの確保に努める。」として、その基本的な考え方を示され、新橋、代官山、大向、恵比寿の各保育園の建て替えを打ち出しております。これらの計画スケジュールの概要等については、各保育園の保護者への周知・理解を得るために所管部より努力し、保護者は一定の心構えが出来ているようであります。そこで、来年度具体化されている、新橋、代官山の各2園について「仮移転・着工」とのスケジュールが示されているところでありますが、保護者にとりましては、大きな関心事であると存じますので、具体的な候補地等はすでに決定しているのでしょうか。また移転のためのスケジュール等の検討状況等について区長に伺います。
次に環境施策について質問いたします。地球温暖化問題は、今や全人類共通の課題であり、自然との共生を維持していくために、本区においても区民、企業と行政が連携し、この環境問題に取り組んでいかなければなりません。本区において、新規事業として「緑の輪21」を実施し、協働で進める緑化を通して、地球環境への関心を高めていこうとしています。様々な媒体や機会を捉えて、区民、企業への啓発を行うことと同時に、区民自ら行うことが出来るアクション・プランが必要と存じます。しかし総論では理解するものの、実践を意識付けすることの難しさを感じるものであります。1997年12月の京都議定書においては、温室効果ガスを2008年から2012年までの間に、1990年と比較して5%以上削減することが求められております。今年から、待ったなしに結果を出さなければなりません。個人、一人一人の力が無駄でないことを、はっきりと区民に示し、一人一人の努力が結果となって実感できる手法が必要ではないでしょうか。例えば暖房温度の設定を1℃下げることにより、二酸化炭素の排出量をどれだけ減らすことが出来たのか、数値を示すことにより、具体的で手の届く行動へと結びつけることが出来ると存じます。新宿区では、長野県伊那市と環境保全のための協定を締結し、新宿区が伊那市の森林を整備する代わりに、区内の二酸化炭素排出を削減したと見なす「カーボンオフセット」に取り組もうとしています。また化石燃料から、エネルギー源をほかに求めることも考えられます。様々な手法を組み合わせての総合的な取り組みを期待して、区長にお尋ねいたします。「緑の輪21」事業については、これから検討する事項が多いようですが、現時点での環境問題への対応策とそれを実現するための戦略をお聞かせ下さい。またクリーン・エネルギーの導入について、どのように考えておられるのか御所見をお尋ねいたします。
次に安全安心の施策に関してお聞きいたします。まず震災対策ですが、区長はこれまでこの震災対策について、全力で取り組んでこられました。区民の生命、財産を守る観点より、地震防災マップの作成や、福祉情報を活用した災害時要援護者名簿づくり、さらには木造住宅の耐震改修工事助成の拡充などを整備してこられました。特に、災害時要援護者の支援プランにつきましては、本年1月16日に全国放送されたNHKの「クローズアップ現代」において、先駆的な取り組みとして、詳細に紹介され、なかなか進まない災害時要援護者対策の切り札として高い評価を得たところであります。このことにとどまらず昨年の11月からは、これまでの耐震改修工事助成を大幅に引き上げると共に、耐震シェルターや防災ベッドについても助成制度を加えるなど、本区の防災対策は全国自治体において、トップクラスに位置するものと確信しております。平成20年度の当初予算案におきましても、区立公園35カ所に災害用雨水樽を設置するほか、避難所備蓄品等の整備や、特設公衆電話の設置など、更なる充実に努めておられます。科学がいかに進歩発展しても、地震の発生を抑えることは出来ません。また、地震予知や緊急地震速報についても限界があることは知らねばなりません。そうであるならば、私は、震災対策においては、第1に、災害時の被害を最小に留めること、第2に、被災者を出来るだけ速やかに救助、援護すること、第3に、迅速に区民生活の復旧を図ることが必要であると考えます。これらの対策が相まって、総合的な体制整備が実現できると考えるものであります。また、それを実現するためには、情報伝達、情報収集体制や資機材、人材をどう確保し、どう動かすことが出来るかが、発災直後の対策の成否を決するものと確信しております。そこで区長に伺います。本区の震災対策において、今まで築き上げてきた資源をどう活用し、体系付け実効あるものとするかお尋ねいたします。またこの課題推進に当たり区長はどのような手を打とうとされているのか、御所見をお聞かせ下さい。
次に子供に対する安全対策について伺います。近年犯罪被害者が低年齢化し顕在化することに伴い、児童・生徒の安全対策は、喫緊の課題と認識しています。本区においても、16年度に監視カメラを設置し17年度よりは、小学校全校に警備員を配置、さらには、希望する保護者には、緊急一斉メールなど着実な施策推進に当たられております。さらに充実強化する観点より、地域の自主防犯パトロールとの連携、民間事業者の協力、通学路の再点検、子供110番の家の更なる拡充など8項目にわたり、関係部署と相互に連携を図りながら、施策推進の充実を図られていることは承知しておりますが、一番のポイントは直接、児童・生徒が携帯する防犯ブザーの徹底であろうと存じます。現状小1・小4、中1及び転入児童・生徒に配布し、学校では所定の場所に携帯していることの確認、使用方法の指導を行い。家庭では電池切れや故障等の点検の協力を依頼し、さらに放課後クラブでもそれらのチェックを行っております。この施策を中心に位置づけさらに一歩進め、近隣セキュリティシステムを完成させているのが、品川区であります。その概要は、子供たちの緊急信号を区役所センターシステムで受信し、信号が発信された位置を特定。警察・学校をはじめ生活安全サポート隊・保護者地域住民の協力者に通報し、それぞれが現場に急行して子供の安全を確保するというもので、登録制の協力員は1万人を超えております。そして区内小学生全員に配布されるのが「まるもっち」と名付けられた防犯装置で、従来の防犯ブザー機能に加え、GPS機能とPHS機能を併せ持ち、通話も可能なもので、発報場所の特定も数十メートル単位で把握でき、地図の画像情報も送信できる装置であります。平成17年9月より導入し、平成18年9月までに、通報件数は1200件あり、内6件は深刻な状況であったことが確認され、その犯罪が未然に防止されております。また昨年の新聞報道でも、このシステムを活用し、子供からの信号を受けたセンターが、通話により子供を近くのコンビニに誘導し、警察により不審者が確保されたとの報道もあり、このシステムを導入することによって、本区においてもさらに警察をはじめとして、地域安全パトロールや110番の家との連携が強化されるのではないでしょうか。即ち今までの受動的対応から能動的な対応に拡大される点が最大の着眼点ですが、こうした事例も参考にしながらさらに実効ある地域セキュリティシステムの構築を目指していただきたいと存じますが、区長のお考えをお尋ねいたします。
次にキ区のあるべき姿、渋谷の将来像について伺います。本年1月22日、第9回目の「キ区のあり方検討委員会幹事会」が開催されておりますが、具体的な事務配分の検討は、444事務の内一つも結論が出せない閉塞状況であると伺っております。特に象徴的は、第8回目の上下水道の取り扱いであろうと存じます。本事業は、法令的には、区の事務ということもあり、444の事務の中で最初に議論されたにも係わらず、議論のあり方でキ区双方が歩み寄ることが出来ず、結論を先送りにしてしまったことであります。ここでキ区双方に認識の違いが鮮明となったのは、「大都市の一体性」の解釈であります。そもそも戦後のキ区制度の歴史は、「大都市の地域の一体性・統一性の確保」という課題と「大都市地域内の各区の自主性・自立性の強化」という課題がせめぎ合う経過を辿ったと総括できる訳で、あり方に関する検討委員会が目指す再編を含む区域のあり方、事務配分や税財政制度を根本的かつ発展的に検討すると言った諸課題に道筋をつけていくこと自体双方にとって入り口から齟齬がしょうじており、実効性をはなはだ疑うものであります。こうした折、昨年有識者で作る「特別区制度調査会二次報告」が、区のあり方をまとめた報告書を特別区長会に提出致しました。本報告書の内容は、特別区制度調査会一次の報告書において、本来すべき市の事務をキが担うという「行政の一体性」を軸に検討してきた。しかし、行政の一体性にとらわれてしまうと、現状そうであるように、キが現在になっている市の事務を区に移管できない状態が永遠と続く。地方自治法では、「大都市地域における行政の一体性の確保」が明記されているものの一方で、地方分権一括法では「統一的な処理を必要とする」都道府県の事務は廃止されているというこの法律の解釈などを根拠に、キ区制度廃止という前提に立ったとする内容であります。さらに続けて、このキ区制度の廃止を実現するには、キ区双方の役割分担を明確化しその上で、キが担っている市の事務、キが課している市税のすべてを区に継承し、キ区財政調整制度の廃止にも触れられたものであります。大森彌会長の「はじめに」の冒頭「特別区を名実ともに住民にもっとも身近な『最初の政府』として再構築するためには、キ区制度を支えてきた基本観念である東京大都市地域における『行政の一体性』からの脱却と『キの区』の制度廃止が必要であるとの結論に至った」とコメントが付されており、私はこの内容を補完性の原理に基づきながら特別区に住み、働き、集うものたちの歴史を踏まえ、見据えたものと高く評価するものであります。報告に盛られた「基礎的自治体連合」の構想は、特別区六十年余の歴史と分権改革の潮流に則り二十一世紀の分権型社会を構築する展望に立脚しており、一方で、キ区のあり方検討会の志向する「区域の再編と事務の移管のセット論」にたいし、都区間の分権改革を踏まえ、「キ区の役割分担、財源配分の原則を実現し、その上で各特別区が自主的に区域問題に取り組むことが順当な道筋」と断じ分権改革の本筋を述べておられます。二十三区とはそもそもいかなる自治体か。「キの区」即ち特別区の歴史をこの際総括し、キ区の将来像をタックスペイヤーであり、ステークホルダーでもある、区民に広く情報を開示し、また意見を求めるなど、決して住民不在のキ区制度改革論に貶めることがないようにする必要があると考えますが、区長の志向するキ区のあるべき姿、渋谷の将来像をどうお考えになっておられるのか、またその道筋を示すに当たり二十三区の中でどう主張を展開されていかれるのか、そのご所見をお聞かせください。
次に小中一貫校開設に向けて区長に質問致します。教育委員会ではこれまでも、国の学習指導要領の改訂に先行して、コンピューター教育に係る施設整備、外国人指導助手の導入、学校運営連絡協議会の設置、学校選択希望制、二学期制度等を取り入れ、児童・生徒のニーズに応じたきめ細やかな指導と評価を行い、確かな学力をはぐくむと同時に、地域から選ばれる学校作りを推進されてきました。今回その特色ある学校作りの一つとして、本町地区に「本町小中一貫校(仮称)」の開設を昨年の十一月区長みずから、渋谷の未来に向けて〜誰もが安心して住み続けられるまち 渋谷〜そのグランドデザインとして、高らかに謳われました。その冒頭区長は、この計画は、私が区長として公約した「きめ細かく、やさしい福祉区政」「夢と希望の持てる区政」「環境にも心を配り、人の豊かさを育む区政」の施策実現のために策定し、任期中の責任を果たすため、今後の区政の諸課題に対し取り組むとの確固たる信念を述べておられます。教育委員会では、これまでの教育改革の推進を踏まえ、小中一貫校は、学習指導・生活指導を九年間通して行えることから、確かな学力と豊かな心を育むために有効であると注目してきたが、一体型校舎の建設には莫大な経費がかかるとの理由から、具体化されなかったとしており、その課題に明確かつ的確に対応されたものと高く評価するものであります。しかし、巷間伝わるところでは、急な計画ではないか?そうであれば、計画を凍結すべきではないかとの声が伝わるところですし、現実に同趣旨に基づく署名活動も行われていることも承知しております。そこでまず区長ご自身の言葉で、揺るぎない信念に基づく教育改革の一端であることの御決意をお聞かせください。また、学校設置者である区長が、特に本町地区に小中一貫校を開設する理由をお尋ね致します。
二点目として、教育委員会のホームページによれば、小中一貫校の開設は、平成二十四年四月の開校となっており、今後四年間という十分な準備期間を設けた計画と、その間学校・教育委員会・教育の専門家による組織を立ち上げ検討を進めていくとしております。そこで是非この検討する組織において、品川区を始め足立区・三鷹市など、すでに先行した自治体で、想定される諸問題に対しどんな対応をしたかを研究し、先行事例として、本プロジェクトに生かしていくべきと考えます。またその際、小田原評定とならず、年次毎に解決する問題を明確化する努力をお願いいたします。そして構成員として、地域メンバーもお加えいただき地域と一緒にその解決策を見いだす努力をお願いするものであります。また教育委員会の推進体制を整備する観点より、任期付き採用制度あるいは、人事交流制度を活用し先行した自治体より小中一貫校立ち上げに参画した、しかるべき人材をスタッフに迎えては如何かと存じますが、区長の御所見を伺います。
三点目として、教育スタッフの充実について伺います。本プロジェクトは、工事期間三年間を含む四年にわたるスパンを要します。現在教師の平均在籍年数は小学校で約3.7年、中学校で約4.1年でありますので、開校時にも引き続いて、携わることが出来る現スタッフは極めて少数となってしまいます。かつて昭和三十年本町中学校が笹塚中学校より枝分かれする形で開校したときに、当時の笹塚中学校の林校長先生が、自ら新設する本町中学校に移るので当時の保護者が安心して本町中学校に移ることが出来たと伺っておりますし、また昭和三十八年本町東小学校が開校した当時においても、本町小学校から、多くの教職員が本町東小学校に移り地域と保護者・児童に「本町小学校に負けない立派な学校を作りましょう」と訴えて本町東小学校建学の礎となられたとも伺っております。やはりどんなにおいしい御馳走であっても、教育委員会だけがそれを食べてくださいとお願いしても保護者は食べる事に躊躇せざるを得ないと存じます。現場の先生自ら、「おいしい御馳走ですから是非一緒に食べましょう」と熱く語ることによって保護者は安心して食べるのではないでしょうか。さらに申し上げれば、三年間の工事期間中は、最大限児童・生徒に悪影響が及ばない万全の体制を要望いたしますが、それでも児童・生徒にかかる負荷を最小限にする努力をしてもそれをなくすことは出来ません。そうであるならば、ハードで負荷を生じたものをソフトで補うことは出来るのではないでしょうか。即ち、教師陣容の充実であります。具体的には、三校に現在在籍している教師スタッフも対象にしながら、事業スパンを考慮した長期に携わることが出来るやる気のある教師を手厚く集めることが出来ないでしょうか。教員の人事権は都の教育委員会にあることは承知しておりますが、本プロジェクトの成否を左右するものと考えますのであえて御所見を伺います。
最後に新しい学習指導要領に関して教育長に質問いたします。時代を問わず、教育は「国家存立の礎」というべきものであり、よりよい教育があってこそ、子どもたちは心身ともに逞しく成長し、将来の渋谷区や我が国を担う人間となるものと考えております。従って、戦後から今日に至るまで、教育は重要な社会問題であり、その時々の社会の要請が学習指導要領にも反映されていくものと存じます。ここ数年の状況を見ましても、一方では、大学生の学力問題に端を発して、国内外の学力に係わる調査からも科学技術離れや学力の低下が問われ、また一方では、いじめや不登校、学級崩壊などが増加し、様々な対策を講じているにもかかわらず、解決の道筋は示されておりません。本区においては、子どもたちの学力は水準以上とお聞きしておりますし、いじめや不登校などの問題にも積極的に対応していることは承知しておりますが、決して予断を許さないと認識しております。そうした中、今後の義務教育のあり方を大きく左右する、小中学校の学習指導要領の改訂案が、去る2月15日、文部科学省から発表されました。これまで、学習指導要領は、10年に一度の割合で全面的に見直され、今回で8回目であると伺っております。今回の改訂案では、前述したように今日的な子どもたちの課題を踏まえ、21世紀を切り拓く心豊かでたくましい日本人の育成を目指す観点から、平成18年12月、約60年ぶりに教育基本法が改正されたこと、また、これを受けて、学校教育法の一部が改正され、新たに義務教育目標の規定、各学校段階の目的・目標の規定が改正されたことなどを十分に踏まえて改訂されたものであると言われております。また発表された改訂案は、現行の学習指導要領の理念である「生きる力」の育成は踏襲するものの、最近の学力低下の批判を受け、40年ぶりに授業時間数を増やすとも報道されています。私は常に、本区の子どもたちが今以上にしっかりとした学力を身につけ、心と体を鍛え、夢や希望を持って、それに向かって努力する人間として成長してほしいと願ってやみません。社会の要請を受けた新しい学習指導要領に基づいた学校教育が推進される時代が、まもなくその扉が開かれようとしています。その時、家庭・地域・学校が手を取り合い、渋谷の子どもたちをしっかりと見守る、そうした環境の中で学校の教育が進んでいく、そんな渋谷区の公立学校の良さがますます広がってほしいと思っています。そこで、今回の訂案を受けて、教育長に2点お尋ねいたします。まず、このたび示された改訂案と現在の学習指導要領との主な改訂点はどのようなことかお示し下さい。次に、この案の趣旨を踏まえ、渋谷区でもさらに学校教育の充実を図り、心豊かでたくましい子どもたちの育成に取り組む必要があると考えますが、教育委員会としては、今後どのような施策を考えておられるのか、現時点での教育長の御所見をお聞かせ下さい。
以上それぞれ御答弁をよろしくお願いいたします。